不登校の悩み⑥ HSC(敏感すぎる子)・「0か100か思考」の子について

講演会「悩まないで、不登校」で寄せられたご質問を「10のこと」とまとめてお答えしていくシリーズ、本日は第⑥回です。

「学校に行かない」子どもの葛藤 家庭を安心できる場に
「ゲームばかり」をどうする?
勉強の遅れ、どうする?
続・勉強の遅れ、どうする?
同世代とのコミュニケーションの不足をどうする?
⑤運動不足をどうする?
⑥HSC 敏感過ぎる子、「0か100か思考」の子←今回はココ
⑦友達トラブル いやな記憶をどうする?
⑧生活リズム、登校ペース、これでいいの?
⑨好きなこと、志望校、将来、どう見つける?
⑩親のキモチ、きょうだいの対応

 

今回は、⑥HSC  敏感過ぎる子、「0か100か思考」の子です。

不登校のご相談で多く聞くものの1つが、「いろいろ気にし過ぎる」というものです。

少し前から、「HSC」(=Highly Sensitive Child)という言葉が多く知られるようになってきました。
生まれつきとても敏感で、繊細な感覚を持ったお子さんのことをそういいます。

「大きな音が苦手で、うるさいのが耐えられない」
「ざわざわしているのがイヤ」
と、聴覚などの感覚が過敏だったり、

「ほかの子が大きな声で叱られていると辛くなる」
と、感情的な反応が強かったり。

学校での集団活は、繊細なお子さんにとっては様々な障壁があるようです。

「気にしすぎ」「そんなこと気にしなくていい」
という声かけは、何の解決にもつながりません。
感じ方は人それぞれで、生まれ持った性質なのですから。
繊細に感じ取る違和感を「まあいいや」とやり過ごすことは、難しいのです。

相手の感じ方を敏感に感じ取るので、期待に応えようと無理をしがちです。また、相手の意見を自分より尊重してしまいます。いつも笑顔を作っていたり、楽しそうになフリを続けたり。合わせ過ぎて疲れてしまうこともあります。

学校でも、良いとされる価値観に合わせすぎ、「こうあらねば」と追い詰められてしまうことがあります。
「うちの子、0か100かなんです」と困る声を聞きますが、「このぐらいでいい」とすることが難しいのです。
理想どおりにできるか(100)できないか(10)。そのどちらかしかないのです。

こうして疲れてしまい、学校に行けなくなると、「自分はだめだ」と責めてしまいます。

でも、決して本人の責任ではないのです。
「環境が」合わないのです。

「つらい。学校にもう行きたくない」となったら、チャンスだととらえてみませんか。
「周囲に合わせる」のをやめ、「自分の感じ方に合わせる」生き方への方向転換のきっかけなのですから。
自分の感じ方にフタをして、そのままずっと周囲に合わせていくのでは、この先もつらいばかりですよね。

まずはお子さんの感じ方を受け止めてみましょう。
音や匂いなど、ちょっとした工夫で改善できそうなことであれば、先生に相談してみるとよいと思います。

ただ、ざわざわしていることなど、集団生活の中ではどうしてもかえにくいこともあると思います。そういう場合は、そこから離れて過ごすことを考えてみてはどうでしょうか。

お子さんは、「行けない」という自責の念を強く抱くかもしれません。
でもぜひ、自分に合う環境を求めて前向きに進んでいるのだ、と肯定的にとらえてほしいと思います。

適応指導教室やホームスクーリング、フリースクールなど、安心して過ごせる場を見つけ、がまんせずに過ごすことは、学校に行くことよりもずっと糧になると思います。

そして、自分の感じ方を知り、対処法を見つけていくことで、自分らしく生きる道が見えてくることでしょう。
(ご自身もHSPだという武田友紀さんの「『繊細さん」の本」、「繊細さんが『自分のまま』で生きる本」、オススメですよ!)

※2020年2月に開催した第2回のびーくセミナー「HSP/繊細さんとのつきあいかた~特性を力に変えるサポートのしかた」についてはこちら

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