勉強は「やりたくなったら」・・そのわけは?

先日の練馬区の講演会での、参加者の方からの質問にお答えするシリーズ3回目です。

目の前のお子さんの姿から、「学校に行かない」という選択を考えるとき、多くの方が心配されるのが、勉強や進路のこと。

「学校には行かなくてもいいけど、勉強はしてほしい」
「いつか学校に戻るときのために、学年の勉強には追いついていてほしい」

という声を聞きます。

お子さんが納得し、勉強を進められるのであれば、それもよいかもしれません。
ただ、ほとんどの場合、いやがるお子さんが多いのではないでしょうか。

学ぶことは本来楽しいものだと思いますが、学校の勉強は「つまらない」と感じているお子さんも多いようです。

学校に通っていれば、「やらなければならないこと」として、漢字ドリルや計算ドリルなどになんとか取り組めても、通っていなければ「やらなければならないこと」という意識も薄まるので、「やりたくない」と思うのは、自然な流れだと思います。

そこで、「やりなさい」と強制するとどうなるでしょうか。
しぶしぶでもやっていれば、少しずつでも身につくでしょうか。
多くの場合は、ますます勉強ぎらいになり、親子関係も悪化し、マイナス面の方が大きいのではないでしょうか。

「図鑑など、興味のあることには夢中になるのですが」
という声を聞くことも多いですが、それならぜひ、興味のあることを追求してほしい。
せっかく学校に行っていないのだから、つまらないと感じる勉強に縛られるのでなく、「自分の学び」を取り戻してほしい。
そう思います。
「学ぶこと」=「教科書で定められた内容」、と狭めなくてもよいのではないでしょうか。

小学1年生から不登校だったAさん。
「勉強はしたくない」ときっぱり決別し、大いに遊び、モノづくりやギターなど、やりたいことに大いにとりくみ、思う存分自分の時間を楽しんでいました。
ところが、高学年になり、進学が視野に入ってくると、勉強のことが気になりだしました。

さあ大変!
これまで全くやっていないので、九九もあやふやです。
「勉強はできない」と思い込んでいるので、「やってみない?」と誘っても、しり込みしています。

でも。「絶対できるよ」「こんなにいろんなこと知ってるんだし」「漢字が読めないだけで文章の意味はわかるでしょ?」「計算ができないだけで、分数も小数もわかるでしょ」
「きっとできる!」ということを繰り返し伝えていくと、そのうち、「うん」「まあね」と肯定し始めました。

気持ちが向けばもうOK。あやふやな九九を確認し、わりざん、かけざんわりざんの筆算、小数や分数の計算…勉強をしてないだけで、理解力は十分あるので、ぐんぐん吸収していきました。

興味に基づき色々なことをやっている中で、算数的活動、国語的活動は十分にしてきているのですよね。「分数」も「小数」も「割合」も「単位当たりの量」も、概念的な理解はできるので、あとは計算力を高めるだけでした。

コミュニケーションは取ってきているので語彙も豊富で、漢字が読めないだけで、文章の理解もスムーズです。自分の考えはしっかりと伝えられるので、あとは書く力をつければいい。

スローペースから始めた学習でしたが、宿題も余裕でこなし、どんどんスピードアップしていきました。なぜこれほどスムーズに進められたか。このお子さんには「意欲」が育っていたからだと思います。

一方で、やりたくもないのに勉強を強制されてきた子は、勉強ぎらいが進むばかりで、やがて勉強が全く手につかなくなっていく…というケースにも出会います。力は十分あるのに、肝心の「意欲」を失っているのです。もったいない!

だから、「勉強はやりたくなったら」が、のびーくの方針です。
自信を失っている子には、前を向けるよう声をかけていきます。

「それでは高校に行けないのでは?」という心配の声も聞きますが、教科試験がない受験もあります。「勉強」をやってきていなくても、進学の可能性は閉ざされません。

可能性が閉ざされるのは、本人が「進学したい」という気持ちを失っている場合です。

大事なのは、「学校でうまくやれない」「学校がしんどい」ということで失った意欲を育むこと。
勉強だけでなく、本人が納得していないことを強いることは、エネルギーを削ぎ、無気力状態を生み出します。

大事なのは、今を充実して過ごすこと安心して、笑顔で、楽しく。
それが、勉強にも進路にもつながる道だと考えます。

 

※のびーくフリースクールへの入会をご検討中の方は、のびーくフリースクールのお問い合わせより「無料入会相談・体験」をお申込み下さい。お子様のご様子などを詳しくお聞きしたのち、ご希望の場合は、体験となります。(体験は有料となります)

 

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