「2学期からは行けるよね」と言う前に 

学校がつらい子どもたちへ。逃げてもいい

夏休みが終わろうとしています。

この時期になると、私たちのところにも、少しずつご相談が増えてきます。

「1学期はほとんど学校に行けなかったけれど、夏休みは元気に過ごせました」

「夏休みに入ってから、笑顔が増えました」

「友達とも遊べています」

そんなお子さんの姿を見ると、保護者の方は思います。

「もしかしたら、2学期からは行けるんじゃないか」

子ども自身も、

「2学期からは行く」

と言うことがあります。

その気持ちは、よくわかります。

学校に行けるようになりたい。

みんなと同じようにしたい。

自分だって、行けるようになりたい。

だから、「2学期から行く」と自分に約束する。

そして夏休みの間は、学校のことを考えなくていいので、少し元気を取り戻していきます。

家族と笑って話す。

好きなことをする。

友達と遊ぶ。

そんな姿を見ていると、

「やっぱり大丈夫なんじゃないか」

と思えてきます。

でも、ひとつ忘れてはいけないことがあります。

夏休みになったから元気になったのなら、学校のしんどさそのものがなくなったわけではないかもしれません。

「2学期から行く」と言ったのに

いよいよ学校が始まる。

朝が来る。

学校へ向かわなければならない。

その瞬間になって、身体が動かなくなる。

「行けない」

そうなることがあります。

本人だって、苦しいのです。

「行くって言ったのに」

「約束したのに」

「また行けなかった」

自分でも自分を責めてしまう。

そこに、

「行くって言ったじゃない」

「夏休みは元気だったのに」

「どうして行けないの?」

という言葉が重なると、子どもは逃げ場を失ってしまいます。

保護者の方も、責めたいわけではありません。

ここまで休んできた。

夏休みは元気だった。

本人も「2学期から行く」と言っていた。

だから、期待してしまう。

「今度こそ」と思ってしまう。

それは、とても自然なことです。

でも、その期待が、子どもにとっては大きなプレッシャーになることがあります。

「行けない」は、約束を破ったのではありません

ここで、私たち大人が少しだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。

子どもが「2学期から行く」と言ったとき、

それは本当に「必ず行ける」という約束だったのでしょうか。

もしかしたら、

「行けるようになりたい」

「行ける自分でいたい」

という願いだったのかもしれません。

夏休みの間は、本当に行けそうな気がしていたのかもしれません。

だから、学校が始まってから「やっぱり無理だった」となっても、

それは、嘘をついたわけでも、約束を破ったわけでもありません。

実際に学校という環境に戻ってみて、

「今の自分には、まだ難しい」

ということがわかっただけなのかもしれません。

逃げていい

学校が始まる。

でも、行けない。

そんなときは、

逃げていい。

学校を休んでもいい。

その日の朝、「今日は無理」と言ってもいい。

2学期から行くと言ったのに、行けなくてもいい。

一度決めたことを、変えてもいい。

子どもには、逃げる権利があります。

そして、私たち大人にも、

「学校に行かせなければ」と思い詰めることから逃げていい

のだと思います。

「もう少し頑張れば」と思う前に

子どもが苦しそうなとき、親は何とかしてあげたくなります。

「もう少しだけ頑張れば」

「明日は行けるかもしれない」

「ここまで休んだんだから、そろそろ」

そう思ってしまいます。

でも、子どもが本当に追い詰められてしまってからでは、取り返しがつきません。

大人が「そこまで苦しいとは思わなかった」と気づくのは、子どもが限界を超えてから、ということもあります。

だからこそ、

限界になるまで待たない。

目の前の子どもの「今」に目を向ける。

「学校に行けるか」ではなく、

「この子は今、苦しくないだろうか」

と考える。

それだけでも、何かが変わるかもしれません。

子どもの「逃げる」を、大人が支えてほしい

「学校に行かなくていい」と言うことは、簡単ではありません。

勉強はどうするのか。

進路はどうするのか。

このままずっと行けなかったらどうするのか。

不安は次々に出てきます。

それでも、

「今は学校から離れた方が、この子には必要なのかもしれない」

と思える大人がそばにいること。

「行けなくても大丈夫」

「困ったら一緒に考えよう」

「今は休んでいい」

と言ってくれる大人がいること。

それは、子どもにとって大きな支えになります。

逃げることは、人生から逃げることではありません。

苦しい場所からいったん離れて、自分を守ることです。

そして、自分を守ることができた子どもは、いつかまた、自分の足で動き始めることがあります。

9月を前に、もう一度

夏休みの間に、子どもが笑顔を取り戻していた。

それなら、まずはそれを喜んであげてほしいと思います。

学校へ行けるようになったからではなく、

その子が笑顔で過ごせたことそのものを。

2学期から学校へ行くと言っていたとしても、

「行けなくなったらどうしよう」

と心配するのではなく、

「もし行けなかったら、そのとき一緒に考えよう」

と伝えてあげてください。

学校へ行くことよりも、

その子が生きていること。

今日を安心して過ごせること。

それを、どうか一番に考えてほしい。

9月を前に、私たちはもう一度、子どもたちに伝えたいと思います。

逃げていい。

休んでいい。

「行けない」と言っていい。

そして、保護者の方にも。

「何とかしなければ」と、一人で背負わなくていい。

子どもが逃げることを支えられる大人が、少しでも増えてほしい。

「学校に行かせる」ことよりも、

「この子を追い詰めない」ことを選べる大人が増えてほしい。

私たちは、そんな大人と一緒に、子どもたちのそばにいたいと思っています。

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